2010年4月交流会
金沢市に学ぶ文化事業とアートプロジェクト
〜金沢21世紀美術館・金沢市民芸術村の取り組み〜 |
1.活動概要
■開催日 2010年4月27日(火)
■趣旨
今回は、金沢市における文化事業とアートプロジェクトの取り組みに着目した。
2004年に開館した金沢21世紀美術館では、体験型の展示や「地方交流センタ−」などの交流施設と関連づけて設置され、まちづくりの中核施設として位置付けられている。
また、旧大和紡績工場の敷地と建物を市が購入してレンガ造工場建築群を活用して建てられた金沢市民芸術村では、ディレクターを要とした独自の市民運営方式で自主企画・施設運営が行われている。その運営手法のポイントについて、芸術村村長から話を伺うとともに、両施設の視察を行った。
■参加者 計24名
■行 程
【集合】 |
8:45 |
名古屋駅西口集合 |
【行程】 |
9:00〜 |
名古屋駅西口出発 (車中昼食) |
|
12:00〜13:00 |
金沢市民芸術村到着 見学 |
|
13:00〜14:00 |
金沢市民芸術村 (村長・担当者からの説明) |
|
14:30〜16:00 |
金沢21世紀美術館 見学 |
【解散】 |
19:00 |
名古屋駅前到着 |
|
2.金沢市民芸術村
■紹介者
■プレゼン・意見交換等
○設置目的
- 文化の創造を担う若者たちが相集い、新たな市民芸術の創造活動を行い、市民が気軽に演劇・音楽・舞踏・美術活動などの練習・製作・研修および成果発表をする場として利用することにより、市民文化の充実向上と豊かな地域文化の醸成を図る。
○特色
- 旧紡績会社倉庫群を市民の「記憶の保存」として残すとともに、文化芸術活動の場として再生する。
- 「市民が主役」を施設運営の基本とする。
- 全国の公立文化施設で初めての「年中無休・24時間」利用できる施設。
- 利用者の経済的負担の軽減を考えた低料金制度。
- 公立文化施設の中で初めて「市民ディレクター制度」を導入し、利用者を代表するディレクターとして民間人を委嘱し、市民芸術村の自主運営の円滑化を図る。
- 利用者の創作の自由を保障すると共に責任を重視する運営方法を取入れる。
○活動の基本方針と方向性
- 地域文化の拠点(市民参加型技術文化活動)
- にぎわいの拠点(鑑賞型芸術文化活動)
- 新しい文化創造の拠点(創造型芸術文化活動)
○管理運営
- 設置主体 金沢市
- 管理主体 財団法人金沢芸術創造財団
- 事務局組織 専任職員9人
- 管理費(収支内訳:平成21年度)
収 入 |
支 出 |
指定管理料収入 |
146,722千円 |
施設管理運営費 |
117,962千円 |
雑収入 |
4,906千円 |
人件費 |
33,666千円 |
合 計 |
151,628千円 |
合 計 |
151,628千円 |
○金沢市民芸術村 委嘱委員
- 総合ディレクター(1名)…市民芸術村の運営について総合的な見地から企画立案
-
ディレクター(計6名)…市民芸術村の自主的運営を円滑にする
ドラマ工房、ミュージック工房、アート工房に各2名配置
月1回のディレクター会議(定例会議)を実施し、各工房の運営・問題点、自主事業の発信・経過報告などを協議。ディレクターは公募。約3年任期で交代。前任が後任を紹介したりしながら、人材を確保している。総合ディレクター等による面接を経て、選任。
○料金設定について
- 市中の同種施設料金よりも低価格設定。高校生でも利用できるように配慮。
- 市中の同種施設運営者においては、芸術活動に参加する人口(底辺)の拡大につながるとして理解を得ている。
■視察風景写真
■隣接して設置されている金沢職人大学校
○設置目的
藩政期から手仕事を大切にしてきた金沢の町にも、時代の流れと共に、その技を伝え守っていく後継者が少なくなってきた。本大学校は、こうした意味で、金沢に残る伝統的で高度な職人の技の伝承と人材の育成を行うとともに、資料の収集、調査及び公開を図ることにより、文化財の修復等を通じ、匠の技への高い社会的評価と一般の理解と関心を深めることを目的としている。(パンフレットより)
○視察風景
|
3.金沢21世紀美術館
■施設概要
平成16年(2004年)10月9日開館。地上2階・地下2階建・鉄筋コンクリート・鉄骨造。延べ床面積28,160.1u。工事費約113億円。設計:竃島和世設計事務所+(有)SANAA事務所共同体。
■建築コンセプト:「まちに開かれた公園のような美術館」
金沢21世紀美術館は、金沢市の中心部に位置し、だれもがいつでも立ち寄ることができ、様々な出会いや体験が可能となる公園のような美術館を目指しています。このため建物には表と裏のないガラスのアートサークルが採用され、トップライトや光庭など明るさや開放感にも十分に配慮しています。また、夜間開館や魅力的なショップ、レストランなど利用者ニーズに対応し、気軽さ、楽しさ、使いやすさがキーワードのこれまでにない美術館です。(ホームページより)
|
(記録:筒井 康史/三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)) |