2007年度9月交流会

長久手田園バレーと万博その後のまちづくり

 2005年愛知万博が開催された長久手町では、名古屋近郊の都市化地域と東部の農村地域の調和を図りつつ、地域の特色を活かした“農あるまちづくり” 「長久手田園バレー事業」を進めています。
 今回の交流会では、今年4月にオープンした田園バレー事業の中核施設「あぐりん村」を訪れて、NPOによる遊休農地活用、平成こども塾、町民参加での様々な取組みなどについてお話をお伺いしました。

【日 時】 2007年9月27日(木) 13:00〜16:00
【場 所】 愛知県長久手町 福祉の家(ござらっせ)・あぐりん村
【参加者】 14名

【行 程】 
  13:00 リニモ沿線地域のエコマネー事業など紹介
   《説明者》 椛ホ話計画 藤森幹人氏
 13:35 Nバス(町コミュニティバス)にて移動
 13:44 福祉の家(ござらっせ)・あぐりん村に到着、各自で視察
 14:00 開会、趣旨説明
 14:10 「長久手町田園バレー事業について」
   《説明者》 長久手町田園バレー事業課長 沖義裕氏
 14:40 質疑応答、全体討議
 15:00 あぐりん村現地視察
   《説明者》 樺キ久手温泉アグリ事業部支配人 野々山雄士氏
 16:00 閉会(あぐりん村・ござらっせにて解散)


1.リニモ沿線地域のエコマネー事業について

  (株)対話計画の藤森幹人氏から、愛知県、豊田市、瀬戸市、長久手町が取り組んでいるエコマネーについての説明を受けました。


エコマネー事業の説明
愛・地球博記念公園駅にて



Nバスでの移動


Nバスの社内
(ほぼ満車状態になりました)

2.長久手町田園バレー事業について

  長久手町田園バレー事業課長の沖義裕氏から、「“農のあるくらし・農のあるまち”を目指して〜長久手田園バレー事業への挑戦〜」と題して、田園バレー事業についての説明を受けました。

【説明概要】
〇なぜ、長久手田園バレー構想なのか
 長久手町は、西側市街地と東側農村部とが共存しており、農業の活性化・都市と農村の交流が必要であった。また、自給的農家・兼業農家が多く遊休農地が増加し、農業の活性化が必要であった。

〇なぜ、農産物直売所を開設したのか
 少量でも出荷が可能であり、消費者との距離が近くなり、消費者ニーズを把握することで耕作意欲が増大するなど、都市近郊だからこそ可能な農業経営として取り入れた。

〇あぐりん村はどのようなところなのか
 都市近郊農業の新たな展開として、農を媒介とした交流の推進、農業の活性化を目指した田園バレー交流施設であり、以下の施設から構成されている。
・農産物直売所 (市・ござらっせ)
・ふるさと薬膳レストラン (凛:「食と農を考える会(町内の女性が中心となって発足)」)
・ふれあい農園 (障がい者等の交流及び自立の支援を目的とする施設)
・農業交流館

〇その他
 新たに農業を始めたい人のための「長久手農楽校」、農とのふれあいを楽しみにしている人のための「ふれあい農園(たがやっせ)」、こどもの農業・自然体験などの取り組みになどを紹介していただきました。

長久手田園バレー事業の説明
(ござらっせ会議室にて)



沖義裕課長

【質疑・応答】

Q.田園バレー事業におけるJAの関わりはどのようになっているのか。
A.事業を進めるうえで、会議や部会のメンバーとして協力いただいた。また、産直事業への参入を要望されたが、町が主体で実施することで理解いただいた。

Q.会社員などの退職者が農楽校で学び、農業に新規参入し、産地直売をしているようだが、何人ぐらいいるのか。参加者は収益を期待しているのか。また、産地直売の経営状況はどうなのか。
A.これまでに15名程度が参加している。収入を期待して参加しているのではなく、自分が育てた作物が売れることを喜びの一つよして参加しているようである。また、産地直売の販売状況は順調であり、参加者からの手数料15%があぐりん村(指定管理者樺キ久手温泉)の収入となっており、基本的には独立採算となっている。

Q.市民農園(農地の貸付)は、JAではなく、今後もNPOが中心となっていく予定か。
A.町の方針としては、現状ではそのような予定である。

Q.長久手町の西側は市街化区域、東側は市街化調整区域であり、リニモ沿線の開発も進められると思うが、田園バレーの保全はどのように考えているのか。
A.現状では、東側の田園バレーは残していく方針である。また、農地所有者も、貸し出すことで雑草などの手入れがなされることから、比較的容易に貸し出しに応じてくれている状況である。

Q.貸し出している農地はどれぐらいか。また、一人で管理できる農地はどの程度なのか。
A.一人で管理できる農地の大きさは耕作に来る頻度によると思うが、市民農園では1区画30uを基本に貸し出している。

Q.指定管理者である樺キ久手温泉は、どのような組織なのか。
A. 長久手町、瀬戸信用金庫、名鉄、JA、商工会が出資する第3セクターである。

Q.本格的に農業を始める人は増えているのか。
A.本格的に増えているかは未確定であるが、定員30名の農楽校は満員状況である。農楽校は町内の退職者が大部分であり、リピーターも多く、男女比は6対4程度である。

Q.農楽校のカリキュラムはどうなっているのか。
A.9時〜12時の週1回の実習と、月1回の講義が基本である。

Q.産地直売の品質管理はどのように行っているのか。
A.町の農業の専門家によるチェックとともに、生産者表示を義務付けており、生産者自らも品質管理に気を使っている。値段付けなども生産者が行っており、品質とともに売れるための努力を生産者自らが行っている。

Q.産地直売には、町外からの持込は可能か。
A.可能であるが町内の手数料15%に対し、町外は16%と1%の差をつけている。

Q.新規参入者と本来の農業者では、品質・売れ行きに差が出ているのか。
A.買い手の主婦層は、品質をよく見抜いている。作物の品質は、いかにたくさんの手間をかけているかであり、経験だけでの大差は生じないと思われる。

Q.平成こども塾とあぐりん村は連携しているのか。
A.平成こども塾での農業体験は小学校の授業にも組み込まれている。一般参加の農業体験も行っているが、田植えや稲刈りなど楽しい時だけの参加が多くなるので、現在は会員制にして通期での参加を促している。

Q.愛・地球博記念公園駅からNバスに乗って来たが、このアクセスルート沿道を農業らしい美しい景観にするとよいと思うが、何か考えているのか。
A.あぐりん村へアクセスするメインのルートではないため、レンゲの種まきや竹林の伐採など、徐々に取り組んでいる状況である。



3.あぐりん村の視察について

 (株)長久手温泉アグリ事業部支配人の野々山雄士氏から、あぐりん村の施設概要、特産品、運営状況などについての説明を受け、各自で自由に施設内を見学しました。


あぐりん村の説明



野々山雄二支配人



(記録:吉田宏喜/中央コンサルタンツ株式会社 )

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