2004年度10月交流会

「市民による緑地保全活動の現場を体験する」
〜「なごや東山の森づくりの会」との協働〜

【日 時】 2004年10月3日(日) 10:00〜13:00(受付9:30から)
【場 所】 平和公園 南部 ハンノキ湿地(名古屋市 千種区)
【参加者】 愛知まちコン7名
なごや東山の森づくりの会23名
名古屋市緑政土木局緑化推進課 中村成利氏

身近な里山の自然環境を市民の手で維持管理、活用する活動が全国的に拡がっています。名古屋市でもそういった市民団体が集まって、昨年3月に「なごや森づくりパートナーシップ連絡会」が組織され、市緑政土木局をはじめ行政との協働で森づくりを進める動きが活発になってきています。
 そこで、愛知まちコンの10月交流会において、東山公園・平和公園一帯(410ha)で活動している「なごや東山の森づくりの会」の森づくり活動に参加して、「森づくり」から広がる「まちづくり」について、市民の方々と交流しました。

 当日は残念ながら雨。しかし、「なごや東山の森づくりの会」は気にも留めずに、予定どおり開催します、とのこと。会員の方々も普段と変わらぬ様子で続々と集まり、さすがと言うか、りっぱというか、イベント感覚ではない活動への使命感を会員の方々に感じました(ちょっと大袈裟でしょうか)。一方、愛知まちコン参加者も、初の休日開催で雨天にも関わらず、7名もの参加がありました。
 今回は愛知まちコン参加ということで、最初に一通り手入れをしているフィールドを全員で巡り、代表の滝川さんから説明をしていただきました。「ハンノキ湿地」と命名した昔の農業用溜池を中心に周囲の散策道の整備や、繁茂する竹林の伐採、笹などの草刈をして、湿地の自然環境を回復させる活動をしているそうです。少し前まで干上がりかけていた溜池も、このところの雨続きでかなり水が溜まっていました。
 愛知まちコンが参加した活動は、湿地脇に繁茂する竹笹の除伐で、雨の中森づくりの会メンバーの指導を受けながら、愛知まちコン参加者もノコギリや枝払い棒を片手に汗を流して作業をしました。
 昼近くになって雨足が強まり、作業は昼までとなって、昼休みにテントの中で意見交換会を行いました。パンフレットや会報が配布され、代表の滝川さんから、これまでの活動経緯についてお話をいただきました。続いて、名古屋市緑化推進課の中村さんからも行政と市民のパートナーシップについてお話をいただきました。
 なごや東山の森づくりの会は2004年2月に発足したのですが、その以前から自然観察会や公園愛護会などいくつかの活動グループに分かれて活動されていたそうです。そもそもは、名古屋オリンピック誘致活動で東山の森に競技施設を建設する市の構想に、一部の市民が森を守るために反対活動で結束したのがきっかけだそうです。それが今では、対立から協働へと軌道修正され、市民と行政のパートナーシップができている点は素晴らしいことです。
 そのパートナーシップ活動として、平和公園・東山公園一帯の森を今後どうしていくか、その構想づくりを市民・学識経験者・企業・行政の四者が集まり、平成12年に研究活動会が、続く13年に協議会が発足して検討が進められ、その成果を基に平成15年に「東山の森づくり構想」が策定されました。4年間にわたる市民と行政や関係者の粘り強い話し合いには敬服する思いです。
 現在、名古屋市ではこの「東山の森」のほか「西の森(戸田川緑地)」(中川区・港区)と「荒池緑地」(天白区)の3緑地をはじめとして、市民とのパートナーシップによる森づくりを積極的に進めているそうです。
 また、こうした市民の森づくり活動にあたって、都市公園法に定められた樹木伐採の禁止事項や火気使用の禁止事項などが障害となっていて、以前からある名古屋市の「公園愛護会制度」をリニューアルし、行政としても工夫しながら対応を図っているそうです。
 当日参加した市民の皆さんも、企業エンジニアをしていた方など多彩な顔ぶれが集まっていましたが、特に現役サラリーマンをリタイアされた男性の方々が生き生きと活動されている様子が印象的でした。市民まちづくり活動においても、ともに汗を流すことによる連帯感や、自分たちの手で努力した成果が少しずつでも感じられることが、生き生きと活動を続けて行くために重要なのだと改めて感じました。
 なごや東山の森づくりの会では毎月第1日曜を定例活動日として、ハンノキ湿地や天白渓湿地で活動されているそうです。今回参加できなかったけれど興味のある方は、是非個人参加してみてください。


【参加者の声】今日は貴重な機会を与えていただき感謝しています。「現場の楽しみ」と「見える成果」が市民参加の原動力になっているというお話は大変参考になりました。


開始のミーティング


滝川会長に森を案内いただく


滝川会長からハンノキ湿地の説明


森づくりの会メンバーと一緒に作業する


竹の除伐作業に汗するまちコン会員



森づくりの会が整備した竹柵



森づくりの会メンバーと意見交換


森づくりの会メンバーと意見交換


同日近くで開催の区民まつりにも森づくりの会



シュロの葉でつくるバッタを教えてました


記録:藤森 幹人/日建設計名古屋


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