【日時】2001年7月27日 14:00〜17:00 【場所】(財)名古屋都市センター14階 第1・2会議室
「都市居住の課題とこれからの視点」
交流会は、定刻より開始されました。講師の方3名を含む総勢30名のご参加によって、会場の時間制限いっぱいまで活発な議論がなされました。
以下、交流会記録を掲載いたします。
1.住宅金融公庫の融資制度について
住宅金融公庫名古屋支店賃貸分譲課 嘉藤 鋭 氏
「都市居住再生融資制度」
【メリット】
通常よりも融資限度額を引き上げ(事業費の80%まで融資)
低金利(35年以内の長期固定金利)を適用、かつ融資手続きが容易
【融資条件】
【融資条件】
【融資実績等】
【その他】
2.愛知県の住宅施策について
愛知県建設部住宅企画課 金田 健 氏
同 尾崎 智央 氏
「あいち21世紀住まい・まちづくりマスタープラン(住まいるプランあいち21)」
【本計画の特徴】
県ではこれまで「住宅マスタープラン」「住宅建設五箇年計画」「住宅・宅地供給計画」は別々に作成してきたが、今回は住宅マスタープランの中に包含することとした
従来、住宅問題対策懇談会(3〜4回/年)で意見をもらい、それを参考に県独自で計画策定していたが、今回は幅広く意見をもらうことが重要と考え、1年目「住まい・まちづくりフォーラム(委員7名)」を開催し、2年目「策定委員会(公募県民委員2名含む25名)」を発足し知事からの諮問を受け、策定委員会が計画策定し、答申することとした
今すぐ出来ない事項(施策)だから計画上削除するのではなく、出来るか出来ないか現時点では分らないが推進すべき施策を具体的に「チャレンジプロジェクト」として掲げ、これからの方向性をうたった
県が行うことと民間にゆだねるべきことを明確にし、リスクが大きく民間が取り組みにくい事業を先駆的に県公社が取り組みことをうたった
基本目標とは別に、目標を実現するための基本姿勢をあらためて掲げた
多方面からの意見によって策定された本計画は、具体的な記述も多く、財政や他部局に対し説得力のある計画と成り得るといったメリットがあった
【計画概要】
20年の長期を見据えて、2010年までの概ね10年間の計画
計画の目的:@これからの住まい・まちづくりのあるべき姿を県民、企業等と共有する、Aその実現に向けて愛知県が取り組むべき施策の方向を明らかにする、B県内の市町村が取り組むべき施策の指針とする
「いきいき 住まいる あいち」のキャッチフレーズのもと、4つの基本目標と4つの基本姿勢を掲げ、施策を整理するとともに、8つのチャレンジプロジェクトを打ち出した
基本目標の考え方:@セイフティーネットとして最低限の住まいを保障すること、Aステップアップとして「ゆとり」の実現を掲げ、住まい手主体という考えを明らかにした、B地域特有の問題と地域の住宅関連産業の振興、C環境問題と自然環境の保全と都市環境との調和を目指す
基本姿勢の考え方:@行政ができることを掲げるだけでなく、住まい手と共に取り組む、A国の考え方にも沿ってストック重視する、B市場任せにするのではなく、市場を対極に置き、行政として取り組むことを明らかにする、C他施策間、関係主体間、行政間での役割分担のもとに取り組む
@高齢者向けモデル賃貸住宅の供給
Aいきいき住宅リフォームの推進
B公共賃貸住宅再生モデルプロジェクトの推進
C管理組合登録リストの整理とマンションの適正管理の支援
D安心・安全モデル住宅市街地の整備
E住まい手サポーターの育成・配備
Fまちなか居住支援事業の推進
G愛知型環境共生住宅(あいちエコ住宅)の整備・普及
3.意見交換
テーマ:都市居住の課題と今後の方向性について
Q.住宅マスタープランには事業評価の仕組みが述べられていないが、事業実施が民間に移行される際には事業評価が必要と思うが、その点はどう扱うのか
A.事業評価は、H12年度から県庁全体で検討はじめ、住宅マスタープランも含めどう評価するか思考している段階である。また、供給目標が達成指標の1つと考えている
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Q.県として他県と比較して、これが県下の問題という点が何かあるのか
A.他県等にくらべ住宅は良好であると歴代の部長等の感想もあり、さらにより良い住宅を供給していくよう努めていく
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Q.住宅を作れば良い町になるという発想では、「まちづくり」がボケてしまう恐れがある
A.「まちづくり」の面は弱い面がある。住まいを中心にまちを捉えるようにしており、基盤整備等との連携については、次回の見直しでは是非検討したい
◎ コミュニティという視点で「まちづくり」を捉えてみれば、計画書の各所に提案が盛り込まれていると理解できる
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Q.民間まちづくり専門家へは具体的に何を期待されるのか
A.事業の掘り起こしと、市町村と県との連携の橋渡しを期待する
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Q.住まい・まちづくりは県全体の中では、どう位置付けられているのか、予算上のシェアはどうか、また、県としてマンパワー、マネーパワーを費やしていく事業は何か
A.今回の住マスは知事も内容把握しつつ策定されており、知事公室でも評価して頂いている。しかし今ある予算枠を大きくすることは難しく、枠内での配分を見直し対処する
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◎ 良好な自然環境を削り、宅地供給し、市街地がだらだらと広がっており、その一方で市街地内において土地が余る現状がある。市街地を広げないことが必要でないのか
◎ 都市計画と住宅との仕切りをどう捉えるかが市町村においても課題となっているが、皆さんからの意見を頂きたい
◎ 県住マスにおける施策として、街なか居住等が打ち出されている。具体的なアクションプログラムは市町村レベルでの住マスでどう策定するかという問題ではなかろうか。県住マスが総花的になるのは仕方がない
◎ 県民・企業にとって、住宅だけでなく道路や病院など全て「まちづくり」であると思う。住マスの目標に「県民・企業との共有」が掲げられているが、その橋渡しをするものが必要であると思う。そのヒントがチャレンジプロジェクトの中にあり、「住まい手サポーター」などは、建築の専門家ばかりでなく、土木関係の専門家などもサポーターとして考えていく必要があると思う
◎ 具体の話をする時、尾張でも西と東では地域特性が違い、県下でも様々な地域特性がある。この協議会では、今日は尾張地域、次回は知多半島など地域を限定して議論してはどうか
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Q.今回の住マスでは地域別施策が無くなったが、どういう考え方があったのか
A.各地域で何が違うのか明確でなかった。施策レベルで書き分けるのに違いが無いと考えた
◎ 地域特性は県でなく、市町村レベルで考えることであると思う
◎ 手当てが必要な地域と、何もしなくても居住に問題がない地域に分けることが必要なのではないか
◎ 公共賃貸住宅を舞台に幼児虐待など発生しており、公共賃貸住宅は問題を抱えていると思う
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◎ なぜ都心居住なのか。都心居住したくても出来ない状況を脱したいのか、コンパクト居住が必要でそう誘導するものなのか。街なか居住を誰がするのか
◎ 税制から何から考えなければ、都心居住の実現は難しいと思う
〜〜時間の都合上、続きは次回以降ということで閉会〜〜
(文責:脇慎一/ランドブレイン(株)名古屋事務所)