愛知まちコン・4月交流会
【日時】2002/4/26(金) 18:00〜20:00 【場所】(財)名古屋都市センター会議室
「都市居住と交通」
磯部友彦助教授(中部大学工学部土木工学科)
参加者:24名
1)都市と交通
・ 都市の形態(集中型、分散型等)と公共交通の発展の関係、フレックスタイムの成功例などの具体例の紹介。
・ 交通の特性は、主に生活活動によるものであり、都市施設や土地利用と生活活動を関連づけた計画が重要である。
2)ユニバーサルデザインの視点から考える都市と交通
・ 環境負荷の低減、移動しやすさの視点から、土地利用や交通・人口配置等を低密度分散型から高密度集中型のコンパクトシティへと整備しなおすことが、障害のない都市・交通へとつながる。
(環境負荷の低減→交通の距離を短くする→バリアの減少・運賃の低下等)
3)専門家の役割
今後、まちづくりの専門家に要求されることとして以下のことが求められる。
・ 知識の広さ(異業種交流・趣味の活用・町内会への参加等)
・ 調整能力(「ものをつくる」から「まとめる」能力)
・ 経験、学習の継続等
〜意見交換の概要〜
● 環境負荷の小さいコンパクトシティの考え方に関連して〜
○ コンパクトシティの実現により、交通の移動距離が短くなる。交通の移動距離が短いということは、移動しやすいということである。また、それは環境面、経済面で有益であり、バリアの発生も減る。
○ 人の活動圏域が広域に渡る昨今、コンパクトシティという枠組みにとらわれない考え方も必要だと思われる。移動距離短縮よりも、交通にかかる時間短縮を最優先したほうが、むしろ移動しやすいといえるのではないか。
○ 交通にかかる時間短縮により、人は地価の安い郊外に住むようになり、都心の空洞化にもつながっている。交通にかかる時間短縮分を、趣味や余暇の時間に活用できるような環境にできたらよいと思う。
○ 日本では通勤時間が数時間といったケースも珍しくないが、ヨーロッパ(例えばパリ)では、通勤時間30分程度が一般的で、時間的余裕を都市(都心)内での余暇にあてる環境が整備されている。
○ コンパクトシティのひとつの考え方に都市の高密度化が挙げられる。ヨーロッパではそのスタイルが実現しているといえるが、日本では、郊外型志向(一戸建て)が強い。
○ 公共交通を考えたときに、一般車の乗り合い移動といった考え方も有効と考えられる。
○ 歩いて住める街づくりも、コンパクトシティのひとつの考え方といえるのではないか。基本的には、自転車や歩行により日常生活が営め、補助的に公共交通を利用したいときにストレス無く活用のできるコンパクトシティはどうか。
○ (磯部助助教授の前任地)である群馬県での街づくりに関する話題の中心は、東京まで何時間で行けるかといったもので、独自のコンパクトシティとしての位置付けが明確になっていないところがある。
○ 群馬県について、東京近郊という地域性の活用という観点で見れば、それもひとつの独自性といえるのではないか。
○ スケールは違うが、名古屋と豊田市の関係も同様のものと言える。
○ 人の感情に注目すると、都会も好き、田舎も好き、観光地にも行きたいといった思いがある。つまり、日常と非日常の活動への希望があり、様々に個性を持った"まち"が、コンパクトシティとして存在し、相互が公共交通によってより移動しやすい形で連携していくことが大切だと考える。
○ ひとつの都市の中で人の生活は完結しない。上記にもあるように、都心という居住環境、そして都心を取り巻く地域、独立した観光地のまち、・・・と"まち"のスタイルはさまざまではあるが、それぞれが一個の"まち"として機能し、日本独自の日本型コンパクトシティの実現を目指すことが望ましい。
〜時間の都合により、閉会〜
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