焼け跡のカーテンコール 戦後名古屋の洋舞家たち
著者 伊豫田靜弘/編者 松本吉正/監修 藤井知昭
発行 特定非営利活動法人世界劇場会議名古屋
2007年3月1日 初版発行
定価 1,800円+税

序 章 日本洋舞界の先人と名古屋 受け継がれた歴史と人脈
第一章 南條 宏、きみ子 名古屋洋舞界の夜明け
第二章 西 弘美 焼け跡に咲いた向日葵
第三章 奥田敏子 東洋へ回帰するモダンダンス
第四章 佐々智恵子 人生を支えた父、南條、小牧
第五章 越智 實 破天荒な情熱が築いたバレエ王国
第六章 戦後名古屋の劇場 昭和二十年代

 世界劇場会議名古屋は、戦後名古屋の舞台芸術史を調査・出版する事業を進めていましたが、2007年に洋舞部門が出版され大変好評を得ています。

  これは、単に舞台芸術の記録というものではなく、その時代を生きた舞踊家たちの生き様が生き生きと表現されたものです。この本の面白いのは、現在活躍中の洋舞家のルーツがわかることもありますが、戦後の名古屋のまちの状況がわかることです。最近、戦後の名古屋の写真などが公開されて、視覚的にはある程度知ることができますが、そこに人々が生きていたことを実感するには記述された文章は有効だと思います。著者伊豫田氏が苦労して調べ上げたこの本では、多くの舞踊家とその人に関わる多くの人の生き様と同時に稽古場や公演会場などの記述から名古屋のまちの様子などもわかり、戦後名古屋を実感できるものとなっています。

  さらに、最終章に永井聡子氏が昭和二十年代の名古屋の劇場建築の状況を解説し概要をまとめており、次々と消えていく戦後の劇場の貴重な資料でもあります。
 

焼け跡のカーテンコール
川本直義((株)エルイー創造研究所)/2008.1



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