まちづくりがわかる本−浦安のまちを読む
編著者:浦安まちブックをつくる会
出版社:株式会社彰国社 1999.11.10

まちづくりを専門としていながら、日頃、自分の住む地域のまちづくりとの関わりが薄く、自分の子どもに父親の仕事を何と伝えていいのか戸惑っていた私にとって、この本は大きな刺激を与えてくれた。浦安に住むまちづくりの専門家が自分たちの住むまちを題材として、まちづくりをわかりやすく伝えてくれる。そこには、自分の子どもに親の仕事を知ってほしいという思いもこめられていたという。「専門家から専門家市民へ」という言葉は、私たちコンサルタントに与えられた課題であるともいえよう。
 浦安を題材にしながらも、そこで展開されている話は他のまちでも共通している。わかりにくい都市計画をわかりやすく説明するために実際のまちを取り上げたという所であり、その素材として浦安というまちがいろんな要素をもっていたというところだ。
 この本は1999年度の日本都市計画学会石川奨励賞を受賞している。この年には「ぼくたちのまちづくり」というこれもまちづくりを題材にした本が石川賞を受賞しており、市民がまちづくりに関わるきっかけをつくるという点でこのような本の重要性が認識され始めたといえよう。インターネットで検索してみると、いろんなところで「まちづくりブック」の制作が進められているようだ。
 実は、桑名市でも昨年から編集委員会を設置して、検討を進めているところであり、その事務局のお手伝いをさせていただいている。市民の方々と話をしているといろんなまちの魅力が見えてくる。全国各地でそのまち独自のまちづくりブックが作成されることを期待したい。

 
石田 富男 (鞄s市研究所スペーシア)/2001.7

 

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