地域づくりトラストのすすめ
ふるさとづくりへのシビック・トラスト戦略
山下茂著
良書普及会 地方自治ブックス1
●「シビック・トラストはなぜ成功しているのか。意見にくい違いがある場合でも、私たちは対決して論争するよりも、どうすればよいかを討議し、その結果、お互いに連携・協力し合う。政治的立場が多様な人びとから成り立っている地域社会の全体にとって何がよいかを不偏不党で考えて活動する。公衆にお説教するのではなく、助言して元気づける。
いろいろな分野の専門職員にとって魅力ある職場を提供しているが、それは給与が高いからではなく、仕事自体のやりがいによる。」(本文の引用より)
 一度始めた地域づくりを続けるためには、仲間を募り、夢とお金に「生命」を吹きこむことが大切です。
 この本は、そのための考え方や具体的な方法を、英国のシビック・トラストなどを参考に、日本版「ふるさとトラスト」として提案したものです。
 前半では、シビック・トラストを中心に、英国での地域づくり活動について、仕組みや事例をわかりやすく紹介しています。
 後半は、わが国で地域づくりトラストにより事業を進めるときの、考え方と気を付けるべきことについて、筆者の考えを述べています。
 本書の内容を、私なりに解釈するならば、地域の中に、もうひとつ「民間の役場」をつくり、住民が自主的に参加・運営すべし、という提案だと思います。
 その運営を支える資金が、一種の「共益費」として必要であるという考え方が、ひろく国民に認知される日も遠いことではない、と思います。
 私自身、各位のご意見やご経験とともに、この本の内容を参考にしながら、実践活動にやりがいを見いだしたいと思っております。
 トラスト以外の方法で進める地域づくりにおいても、参考になることが多いと思いますので、プロ、アマを問わず、ご一読をおすすめします。
 
(藤本芳徳/地域問題研究所 )

 

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