統計学が最強の学問である
〜データ社会を生きぬくための武器と教養
著者:西内 啓
出版:ダイヤモンド社 2013.1.24 第一刷発行

 今、世の中には膨大な情報が溢れています。そして近年コンピューター技術の発達により、「ビッグデータ」と呼ばれる構造化されていない巨大なデータ群さえ分析することが可能となっています。3.11東日本大震災時のケータイ電波を解析して、災害が発生した際のスムーズな避難行動に役立てる研究が進んでいるという報道で目にした方も多いことでしょう
 そんな時機を捉え、この本は売れているようです。
 統計学が「最強」だと言い切ってしまう独善的なタイトルから察して、ウサン臭いんじゃないかなぁと思って手に取りましたが、なかなか興味深いですよ。とりわけ、各種調査結果を分析・考察することも多い同種同業のみなさんにはオススメです。
 「コンサルタントとかマーケターとか名乗る人々の中には、適当なアンケートを取ってキレイな集計グラフを作ることのみを生業にしているんじゃなかろうかという人すらいる」「果たしてこれらの結果に何となく現状を把握した気になる、という以上の意味はあるだろうか?」ですって。アイタタター、耳が痛い。
 でも、勉強になります。統計リテラシーとは何たるかについて、平易な言葉で紹介してくれているので、面白く読めると思います。「あみだくじ必勝法」に「ランダム化比較実験」、「回帰分析」、「カイ二乗検定」、「社会調査法vs疫学・生物統計学」などなど、私達の気を引くテーマやキーワード、トピックが盛りだくさんです。
 ま、少々、論が荒い記載も見られ、ツッコミどころも満載ですが、なるべくわかりやすく伝えようという著者の心意気に免じて、そのあたりはご愛嬌ということで。

 細井昭男(株式会社都市造形研究所)/2013.5



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