定常型社会 −新しい「豊かさ」の構想 |
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広井良典 著 | ||
岩波新書733(2001年発行) |
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広井良典(ひろい よしのり)(1961年生まれ、43歳) 肩書き:千葉大学法経学部助教授 専攻:医療経済、社会保障論、科学哲学 経歴:東京大学大学院総合文化研究科修了、厚生省勤務、MIT留学 本書は、経済成長を第一目標とせずに人々が豊かに暮らしていく「定常型社会」システムを提案しています。いわゆるサスティナブル社会に通ずるものですが、現代社会がどうしてサスティナブルでなくなったのかを経済学や社会保障の視点から分かり易く解説した上で、どのように「定常型社会」に方向転換していくかを、べき論ではなく構想しています。 私が興味を引かれたのは、地域のコミュニティが解体してきた理由を産業化や市場経済の発展による当然の流れと解説している点です。つまり、コミュニティがなくても個人単位で生きてゆける豊かさや社会システムを自分たちで一生懸命つくってきた結果というわけです。だから、いくら大切と訴えても以前のコミュニティは再生しないと思いました。しかし本書では、世界的に経済発展の方向転換を迫られている今は、新しい地域コミュニティが再び必要とされ、社会システムに組み込まれることを予測しています。我々も、単に昔に戻るのではなく新しいコミュニティの形について具体的に合理的に理解する必要を感じました。 |
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藤森 幹人((株)日建設計 名古屋)/2004.5 |