市民のための地方自治入門
●行政主導型から住民参加型へ●

著者:今川 晃
出版社:株式会社実務教育出版 2002.4.15


 住民参加でまちづくりを進めるためには何が必要でしょうか。私は、そこへ参加する人々が、地方自治の基礎知識や今日的課題を共有することが大切だと思います。そこで、入門書が必要となるわけですが、まちコン仲間の皆さんに「市民のための地方自治入門」を紹介します。
 編者は四日市大学総合政策学部教授の今川晃先生です。先生は、大学に身を置きまちづくりの研究を進めつつ、積極的に地元のまちづくり活動にもアドバイザーとして関わっておられ、この本も実践を通してまとめられたものです。
 先生の視点は「住民の顧客性」に当てられており、地方自治体のサービスを受ける客体としての「住民」と、自治の主体としての「住民」との両面があることを認識した上で、今なぜ住民参加のまちづくりが必要なのか、ということがわかる構成となっています。
 具体的には、住民の主体性の高まり(第1章)を前提に、地方自治制度の変遷(第2章)、基本的な枠組み(第3章)、地方財政(第4章)といった、地方自治を考えるために必要な基礎知識が整理されています。そして、住民参加・オンブズマンの必要性(第5章)と、それに対する自治体の構造(第6章)、求められる職員像(第7章)と続き、情報公開(第8章)、政策形成への住民参加(第9章)といった、住民参加をめぐる今日的課題が論じられています。さらに、今後の自治体の進路として、自治体の再編成(第10章)と経営管理(第11章)という課題が示され、最後に社会の変化と自治体の役割として、社会保障制度と環境問題というテーマが与えられています(第12章)。
 これからのまちづくりには、それぞれの地域において、自主性と自己責任に基づく取り組みが求められます。本書を「歩き方」として、あなた自身のまちづくりの旅に出てみませんか。


藤本芳徳(地域問題研究所)/2002.5



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