まちづくり教科書 第1巻 まちづくりの方法
日本建築学会編
丸善株式会社/2004.3.30

 「まちづくり教科書シリーズ」は、日本建築学会の研究成果を生かし、地域のまちづくりを支援する人材育成を目的として出版されている本である。「町並み保全」「安全・安心」など、各巻で異なるまちづくりのテーマを扱っている。これまで、まちづくりについてわかりやすく説明された本がなかったので、本シリーズの刊行は大変画期的であると思う。
 『第1巻 まちづくりの方法』は、「まちづくりというものの概要」を説明する内容である。「まちづくりとは何か」という定義からはじまり、まちづくりの歴史、人・組織体制の考え方、合意形成のための技術の紹介などがあり、最後に事例編として全国の14のまちづくり事例を載せている。事例編は、それぞれ「実態を十分理解している立場」の執筆者が書いており、図表なども用いて詳しく記述されているので貴重な資料となっている。
 本書を読めば、まちづくりというものがどのようにはじまり、展開され、現在どうなっているのかという概要をだいたいつかむことができる。ただし、「地域の活動家」なども読者として想定しているという割には文字が多く学術書風である。より多くの人に読んでもらい人材育成の裾野を広げていくためには、今後より読みやすい改良も必要であろう。

伊藤彩子((株)都市研究所スペーシア)2006.7

 

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