景観まちづくり論 |
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後藤春彦 著 | ||
学芸出版社/2007.10.15発行
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2004年に景観法が制定され、平成19年12月現在、308の地方公共団体が景観行政団体として位置づけられており、今後多くの景観計画が策定されていく。わが国の景観形成が新たな段階に進んでいる中、今一度「景観」とは何かを問い直し、過去と未来をむすぶ「景観」を、いかに地域で育んでいくかを考える必要があるのではないか。その際に、本書は大変参考になる1冊と言える。 本書は大きく分けると、景観まちづくりの理論と実践の2部構成となっている。 1部は「景観まちづくりの思想」と題し、景観を眺める際に不可欠な「視座」と「主体」、基本的な命題である「景観」「景域」とは何か、また、「地域遺伝子」という概念や、外発と内発のハイブリッドな共発的まちづくりなどが、さまざまな話題に触れながら、分かりやすく述べられている。 第2部は「景観まちづくりの実践」と題し、著者が実際に取り組んできた7つの事例を、景観まちづくりの視点からレビューし、景観まちづくりのシナリオや、まちづくりの支援組織のしくみなどが解説されている。 本書を読むと、「景観」とは、単に表層的な美醜ではなく、「風景」と「地域」の相互依存性から成り立ち、まちづくりの結果として表れてくるものだとわかる。また、グローバルな視点とローカルな視点から、自由自在に角度やズームを変えて景観を眺められる「視座」を持つことが求められている。私もまちづくりの専門家として、「視座」を広げるように日々努めたい。そして、計画づくりに終止するのではなく、常に「景観」として表現することを描きながら、地域と向き合いまちづくりを進めていきたいと思う。 |
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有我利香((株)連空間設計)/2007.12 |