40歳からの快適居住学
著者:林 玉子
出版:講談社 1999.5.12
 この本を読んだのは、自分がちょうど人生の折り返し地点といわれる40歳を過ぎ、各地で住宅マスタープランを始めとする住宅計画に頭を悩ましていたころ、何かヒントになる本はないものかと、たまたま立ち寄った地元の図書館で、「40歳からの快適居住学 長生き人生の家 6つのおさえツボ」というタイトルの本を目にしたのが、きっかけである。
 ごく一般のファミリーならば、旦那さんが30代中ごろ、子供が小学生の高学年くらいになった頃に、独立した子供部屋のある持ち家が欲しくなり、郊外の一戸建てか都心の分譲マンションを買うといったパターンが多いようだが、この本を読むと、家づくりは、もう少し待って、40過ぎてからを考えたほうが良さそうだという気がしている。幸いにも、自分はいまだに賃貸のアパート暮らしをしているので良かったと思っている。
 自分と子供の年齢からすると、子供と一緒に暮らすのはせいぜいあと15年くらい(今時、子供夫婦と同居できると思っていては大間違い)、自分の年齢で55歳くらいまでか考えると、確かに、平均寿命の80歳までは25年もあるではないか。
 子供との生活を重視した住まいではなく、長生き人生を快適に暮らすための住まいのあり方のツボが、この本には書かれているのである。
 では、そのツボとは何か。@家の中と外まわりはすべてバリアフリーにする、A階段の安全対策で家庭内事故を防ぐ、B座って調理できる楽ちん設計のキッチン、C家づくりのスタートは機能的なトイレから、D老後の最大の楽しみ、入浴を安全に快適に、E広い空間に多機能完備、快適な老人室は老後の砦、とある。
 特に、興味深く読んだところは、夫婦であっても老後は一人一部屋を確保することが大切、それが夫婦仲良く暮らすための秘訣だというところである。40歳を過ぎれば夫婦別寝の家庭も少なくないだろうから、ごもっともと思う方も多いことだろう。
 40歳を過ぎて、家づくりを考えている諸兄には、是非、一読を薦めたい本である。
岩田晴義(ランドブレイン株式会社)/1999.11



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