現代建築のコンテクスチュアリズム入門 環境の中の建築/環境をつくる建築
秋元馨 著
彰国社 2002年4月10日 第1版発行
  「コンテクスチュアリズム」とは、哲学・思想の分野から広まった概念であり、「言葉は単独で意味をなすものではなく、文脈(コンテクスト)の中でのみ意味を持つ」という考え方を指す。

 このことは私達が関わるまちづくり・環境・建築の分野においても、援用・解釈に用いることができる。端的な例を示せば、歴史的な建造物の残る街並を整備するにあたって、地域の風土というコンテクストに調和させて新規の修景計画を進める、というのは常套手段の一つであろう。場所が変われば、計画の持つ意味は異なる。同じ愛知県内でも名古屋駅ミッドランドスクエア前と設楽町役場前では同じ計画は成り立たない。

 本書は1960年代〜80年代に建築思想の分野で盛んに提唱されたコンテクスチュアリズム概念がどのように登場し、唱えられ、役割を担い、如何にしてブームが去ったのか、そして果たして今や本当に陳腐化してしまったのか、について哲学・思想・芸術・歴史・建築・まちづくり他の分野からの豊富な引用とともに論じられており興味深い。よろしければ是非。

目次
序 なぜ今、コンテクスチュアリズムか
T コンテクストとは何か
U コンテクスチュアリズムの登場
V コンテクスチュアリズムの波及
W コンテクスチュアリズムの展開
X コンテクスチュアリズムの現在とこれから
あとがき−21世紀に引き継がれるべきデザイン原理のために

細井 昭男((株)都市造形研究所)/2008.3



▲図書紹介のトップに戻る▲