コミュニティ・ビジネス
著者:細内信孝
出版:中央大学出版部 1999年10月1刷

 中小企業は多種多様な企業から成り立っており、最近話題のベンチャービジネスもその一つ企業形態である。ベンチャービジネスは、和製英語であり、中小企業=弱者、従属型企業という見方が支配的であった昭和40年代に、技術、デザインなどを武器として独自の事業展開をする新しい企業群を見いだした清成忠男、中村秀一郎、平尾光司がその概念を定義づけ、その著作名としたのが最初である。
 中小企業は多種多様であるだけに、その後も新たな概念や名称が多数提出されてきている。ただし、安易な新しい名称(例、スモールビジネス、マイクロビジネス)の提唱について、異議を唱える意見(佐藤芳雄前豊橋創造大学学長)もみられ、評者も少なくとも、かってのベンチャービジネスのように、新たな企業群の生成という事実の発見とそれに対応した概念の整理、定義づけがあった上での名称の提唱であるべきと考える。
 最近、論議されることが多くなったコミュニティ・ビジネスも中小企業の1つの企業形態である。本書は、そのコミュニティ・ビジネスについて、その概念を整理するとともに、国内外の具体的事例を集大成した著作であり、専門書であるが、表紙の装丁も含めてとっつきやすく用語解説もあり読みやすい。
 このような著作がコミュニティビジネスの理解を深め、また、新たな実践事例が積み重なることにより、コミュニティ・ビジネスが今日のベンチャービジネスのように定着する日が来るものと思われる。
早川周((株)地域計画建築研究所 名古屋事務所)/2001.1

 

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