武士道 |
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新渡戸 稲造 著/ 奈良本 辰也 訳・解説 |
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三笠書房 / 1997.7 |
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武士道から何を学ぶか? 米映画「ラスト・サムライ」のトムクルーズが愛読した本?だからといって、流行にながされるまま手にした訳でもあるまいが、間もなく手間暇かかった樋口一葉へと変わりゆく5000円札の人、新渡戸稲造の'武士道'である。 この本は、日本人の精神の基盤となる「武士道」の本質(義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義)を「日本の魂」として、広い識見と深い洞察力で世界の人々に見事に解き明かしている。武士は何を学び、どう己を磨いたかを知ることは、まちづくり道・コンサル道・技術士道・知士道を志す我々にとっても、重要な手がかりとなる。 知識は本来、目的ではなく知恵を得る手段である。知識のための知識を軽視する武士道とは・・・。気のおもむくまま、勝手きままに論じてみる。 「 義 」: 武士道の光輝く最高の支柱(正義の道理)! ・自らしていることを、自らの理性に正しいかどうか問うてみろということだろう。 「 勇 」: いかにして肚を練磨するか? ・いついかなるときも平静を保ち、正しいことをするこということだろう。 「 仁 」: 人の上に立つ条件とは何か? ・優しさという感情を育てあげ、憐れみの心を見失うなということだろう。 「 礼 」: 人とともに喜び、人とともに泣けるか? ・他人に対する思いやりを、愛情をもって体現化することだろう。 「 誠 」: なぜ「武士に二言はない」のか? ・嘘や妥協は罪悪ではない、ただひたすらに弱いということだろう。 「名誉」: 苦痛と試練に耐えるために・・・。 ・富や知識を得ることではない、自己の役割をまっとうに務めることと見つけたり。 「忠義」: 人は何のために死ねるか? ・何よりもまして良心に従うことと見つけたり。 生真面目に机に向かい大声高らかに国語の教科書を朗読していた幼き日、与えられた時間だけは、とてもマッタリと流れていた。カネ・モノ・情報に溢れ、効率だけを追及し、心の豊かさが失われつつあるこんな時代だからこそ、現在の自分の姿と見つめあい、誰にも邪魔されない週末の夜に、コッソリとユックリと精読してみたい座右の書である。 |
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本田俊介(中央コンサルタンツ(株))/2004.6 |