お茶でもてなす城山・覚王山「文化の里」魅力発見/名古屋市千種区

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地域の魅力/お茶/寺社

 

■城山・覚王山「文化の里」

 百年前に日泰寺が創建されてから、名古屋城下東の「里山」に、京都の東山をモデルとして、多くのお寺と住居と茶室が移転してきました。城山・覚王山地区は、「名古屋の文化」の集まる「文化の里」と呼ぶにふさわしい地域です。そこで、文化の里づくり委員会では、平成17年から地域の魅力を発信する秋のイベントを開始しました。文化の里づくり委員会には、住民や大学の先生、この地域に興味のある方など様々な方が参加しています。平成21年の秋には、名古屋観光ヒートアップ事業に選定され、文化やお茶をテーマとした情報発信事業と集客イベント事業を行いました。

■情報発信事業

「文化の里共通チラシの作成」
 主催イベントだけでなく、城山・覚王山地区で同時期に行われる文化やお茶をテーマとした関連イベントの情報も掲載することで、地域の情報を発信しました。

「文化の里名物づくり」
 城山・覚王山「文化の里」のイメージに相応しいオリジナルお茶菓子を、地元のお菓子屋に依頼して作成し、各イベントのお茶席で使用しました。

お茶をテーマとしたマップの作成」
 お茶が飲める店やお茶室の情報をイラストで紹介した「城山・覚王山 文化の里お茶しよマップ」を発行し、各イベントや店舗等で配布した。お茶室と各店舗のおすすめ商品のイラストが好評です。

「ホームページの作成」
 主催イベント以外にも地域の情報を随時更新し発信しました。また、メールを利用したイベント情報のお知らせも行いました。
http://bunkanosato.jimdo.com/


相応寺のお菓子
(茶筅塚とお亀の方を題材にした生菓子)


城山・覚王山 文化の里お茶しよマップ

■集客イベント事業

「爲三郎記念館 野外檜舞台でお抹茶を」
 日本庭園の中に檜舞台を設置し、文化の里オリジナルお茶菓子とともに、お抹茶を気軽に楽しんでもらうお茶席を開催しました。

「正法寺 津軽三味線 演奏会」
 趣のある尼僧堂で、津軽三味線の力強い音色を楽しむ演奏会を開催しました。正法寺は、全国初の尼僧学林です。

「揚輝荘 薪狂言」
 庭園につくられた檜舞台で、狂言の楽しみ方のお話しの後、薪狂言(和泉流狂言 清水)を開催しました。開演前には三賞亭にて、文化の里オリジナルお茶菓子とともにお抹茶を楽しんでもらいました。篝火で舞台を、エコキャンドルで帰り道を演出しました。

「相応寺 茶筅供養と聲明コンサート」
 僧侶たちによる力強く美しい響き「聲明」のコンサートを開催しました。相応寺には「茶筅塚」があり、日本で最初の「茶筅供養」が行われました。開演前に茶筅供養を見学してもらったり、文化の里オリジナルお茶菓子とともにお抹茶を楽しんでもらいました。照明とロウソクで紅葉と建物をライトアップし、秋の風情を演出しました。


爲三郎記念館 野外檜舞台でお抹茶を


正法寺 津軽三味線 演奏会

揚輝荘 薪狂言


相応寺 茶筅供養と聲明コンサート

■まとめ

 まず反省点としてあげられたのが、広報やチケットの販売方法についてです。同時期に名古屋市内でも多数のイベントを開催しており、チラシとポスターだけでは集客効果が認められませんでした。また、高齢の参加者が多いので、チケットの買いやすさが求められました。その他に、会場への誘導や寒さ対策、高齢の方への椅子席の確保などが挙げられました。
 今後の展望としては、会場となったお寺に初めて入ったり、身近な場所にも美しい紅葉があることを知ったりと、このイベントをきっかけに地域の魅力を感じてもらえたという参加者がいたので、お茶会やコンサートは、寺社などをPRしていく手段として効果的です。この地域には、名古屋市が進めている「武将都市ナゴヤ」に関連した寺社も多いので、寺社の魅力とお茶が飲める店の存在は、名古屋の観光の新しい切り口として期待できると考えられます。また、名古屋観光ヒートアップ事業に選定されたことで、当委員会が今まで開催してきたイベントよりも、規模の大きなものに挑戦できたことは、今後の活動の方向性や範囲を見極めるのに、大いに活用できます。

坂戸尚子((株)エルイー創造研究所)/2010.9

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