春日井市勝川駅周辺街づくりの新たな取り組み/愛知県春日井市 
勝川・味美ちょいのりバス「かっちぃ」

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まちづくり協議会/コミュニティバス 

 

■勝川駅周辺整備事業

 勝川地区の街づくりは、行政による「勝川駅周辺総合整備計画(1987年3月)」が基となり計画的に進められてきた。勝川駅周辺総合整備計画は、勝川駅周辺地域で土地区画整理事業による基盤整備や立体換地促進事業、市街地再開発事業による施設整備など12もの事業(計画策定時)が盛り込まれた。中でも、立体換地促進事業は全国で初めて実現したもので、勝川では立体換地ビルが2棟完成している他、市街地再開発事業も3地区(全て組合施行)が完成し、駅周辺の様子はその当時と比べると大きく変わった。現在は、JR線の連続立体交差事業と駅前広場整備(ペデストリアンデッキ整備)を残すのみとなっている。


JR中央本線勝川駅 駅前広場


勝川地区第一種市街地再開発事業

■勝川地域の活性化に向けた取り組み

 勝川地区は、行政主体のハード整備のほか、ソフトな街づくりを進めるために地元商店主や地元自治組織で構成される「勝川駅周辺まちづくり協議会」が組織され、これまでに商店街のカラー舗装整備やスタンプ事業、販促イベントの開催や駅周辺のイルミネーション等の地域活性化策に取組んできた。協議会は、商店街振興組合とは別組織で、地元と行政とのパイプ役として活動している。
 また、2006年9月には、全国リサイクル商店街サミット春日井大会(勝川地区)の誘致、運営にも携わり、勝川のPR、街づくりに貢献してきた。
  この他協議会は、市街地再開発事業の施設計画の検討段階でも、商店街への影響や地域住民の利便性向上の視点で施行者との協議を積極的に行い、建物に反映させてきた。


全国リサイクル商店街サミット(2006年9月開催)

■新たな取り組みコミュニティバス 「かっちぃ」

 行政による積極的な支援のもとで進められてきた勝川地区の施設整備も完了しつつある中で、それらの施設を活かす立場にある商店主らは、次なる事業として地域循環型コミュニティバス「かっちぃ」を昨年12月にスタートさせた。
 かっちぃは、JR勝川駅及び名鉄味美駅や商店街、近隣の食品スーパー、病院などの1周約9`を約30分かけて周回し、お年寄りや地域住民の買い物の足として利用してもらおうというもの。事業主体は、春日井市商店街連合会でバスは小牧市内の運輸事業者の協力のもとで運営されている。コミュニティバス事業は、全国的にはいくつかあるが、商店街組織が主体となって取り組む事例はまだ少ない。
 事業化にあたっては、行政等への各種申請手続きの複雑さや他の運輸事業者からは厳しい意見がでるなど、多くの問題や課題を抱えていた。しかし、事業計画の一部見直しや粘り強い交渉の末に開業にこぎつけた。これまでの地域活性化に関する取組みの経験が活かされたといえる。
 コミュニティバス事業は、利用者の確保やバスの維持費等の課題により安定した運営が難しいといわれている。かっちぃは、運行を開始してほぼ2カ月になり、まだまだ周知が十分とはいえないまでも一日平均30名ほどの利用客があり、今後は運営費用の一部としてバスの車体への広告スポンサーを募る予定だ。ここ最近の経済情勢の悪化がどれほどの影響が及ぶか不安な状況ではあるが、商店街や沿道店舗等との連携、地元企業の資金的支援による下支えにより、広く親しまれる元気なコミュニティバスとなることを期待したい。


鮮やかな青い車体の「かっちぃ」


村井亮治((株)都市研究所スペーシア)/2009.2

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