「どんこう」で進化するみんな(人・動物・植物)の場所づくり/
愛知県一宮市・エコハウス138ビオトープ園「びおっこ」

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ビオトープ/ワークショップ/エコロジー/環境

 

■はじめに

 「環境」「エコ」という文字を毎日のように目にする時代になりました。
一宮市のエコハウス138(環境学習体験施設。ごみ焼却施設の余熱を有効利用。)に隣接するビオトープ「びおっこ」では、「どんこうで進化するビオトープ園−みんな(人・動物・植物)の場所づくり−」をコンセプトに10年、100年と世代を超えて進化していくビオトープを目指して市民有志のロハスな活動が繰り広げられています。

■市民参加型のビオトープづくり

 ビオトープづくりはエコハウス138の第2期事業として市民参加型でスタートしました。平成15年度:基本構想、平成16年度:基本設計、平成17年度:実施設計・工事施工を経て、平成18年5月にオープンしています。基本構想の当初からワークショップを重ねてアイデアを出し合い、管理運営にも思いを巡らし、いっしょに土にまみれて作業する等、様々な活動が推進されました。


ワークショップの様子


ワークショップの様子

■ビオトープづくりワークショップの目的

 開始当初に事務局からワークショップの目的として以下のことが示されました。
 @ 自然と親しみながら、様々な生き物とふれあい、市民が気軽に憩えるビオトープ園になる
   ように、市民のみんなと一緒に公園の「構想づくり」をおこなうこと。
 A 公園ができてから、行政だけでなく市民も一緒に企画・管理・運営を行えるように、今のうち
   からパートナーシップ(協働する関係)を育てあうこと。
 B さらに、公園のことだけでなく、市民ひとりひとりの力を一宮の「まちづくり」全体にまで広げて
   いくこと。
 この目的は非常に共感を得て、以降の活動における重要な指針になりました。さらにワークショップを通じて市民から「どんこうで進化する」というコンセプトが出てきました。これは活動の方向性を共有する上で大いに意義がありました。

■ワークショップの流れ

 平成15年度の前半では、どんなビオトープになったらいいか、実際に近隣のビオトープ事例を見学したり、ビオトープでのシーンを思い浮かべて絵にする等、参加者のイメージを共有することに重点が置かれたプログラムとなりました。徐々にデザインゲーム等を通じて実際の計画に反映する具体的なかたちをまとめています。平成15年度後半からはメンバー自らできることを考えたり、年度末の「フォーラム」に向けて準備も行われました。  平成16年度に入ると基本設計図面をチェックするワークショップが開催され、同時期に専門委員会も開催されるようになりました。専門委員会はワークショップで出されたアイデアを踏まえ、設計内容の検討と技術的討議をする場として設置されました。また、自分たちにできる活動を考えていく中で「楽しいビオトープ広め隊」「生き物たくさん守り隊」「植物ぐんぐん育て隊」の3グループに分かれて活動することを決めました。その結果、この年度末の「フォーラム」では3隊がそれぞれ、どのように自分たちの活動を伝え広めていくか、どのように外来種を排除して在来種を育てていくか、いう具体的な提案がなされています。  その後、実施設計〜工事施工と段階が進むにつれ、事務局に依存するのではなく、将来を見据えた市民の自主的な活動が広がっていきます。事務局主催のワークショップだけでなく、多くの分科会が開かれました。


川でのグループ活動


フォーラムの様子

■そして現在、「どんこう」で進む地道なまちづくり活動

 ワークショップに参加したメンバーが母体となり、「びおっこの会」として活動しています。毎月1回程度の定例会を開催し、池の中の生き物観察をしたり、外来種の草取りをしたり、こどもから大人まで楽しみながらビオトープを守る活動を行っています。「びおっこの会」のHPはこちらです。
  http://biokko.cocolog-nifty.com/blog/
  オープンから3年を経て、訪れるたびに草木の成長には驚かされます。それにつれて多くの虫や鳥も集まってきています。市民が見守る池では最近では稀少になってしまったメダカやタナゴに出会えることができますよ。これらの小さな生き物達は日本の各地域によって遺伝子に違いがみられます。なので遺伝子を乱さないようにするため、ペットショップ等で購入したりするのではなく、「びおっこの会」メンバーが近くの木曽川で捕獲してきた一宮在来の生き物を池に放しています。放つ際には専門家のアドバイスを聞いて、今、池に棲息している生物のバランスを無理に崩すことのないよう、慎重に行われています。
 みなさん、よろしければ一度是非お立ち寄りください。そして100年先を視野に入れた地道なまちづくり活動を感じてみてください。随時、入会も募集しています。年に1〜2回行われる池の生き物観察会は特に楽しいですよ。大人も子どもも楽しめること間違いなし!実際、家族全員で参加しているメンバーの方も大勢です。


オープン時はまだ緑も少なかった


びおっこマップ

植樹祭


ちびっこも楽しく活動

瀬古としみ((株)都市造形研究所)/2009.7

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