ユニバーサルデザインによるまちづくり/名古屋市立大学・名古屋市千種区

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ユニバーサルデザイン/まちづくり/ワークブック

はじめに

 すべての人が住みやすいまちづくりを目指した「ユニバーサルデザイン」という考え方が注目されてきています。その考え方の普及を目指して、平成16年度に千種区まちづくり推進部が推進する人権尊重のまちづくり事業にそって、数回の打合せと6回のワークショップによって、千種区内のユニバーサルゾーンを踏査し、盲・聾学校の見学やバリアフリー体験などを行いました。


バリアフリー体験の様子


ワークショップの様子

 平成17年度には、名古屋市立大学特別研究奨励費に採択され、名古屋市立大学人文社会学部・芸術工学部教員とエルイー創造研究所研究員による共同研究メンバーを中心に、学生有志、千種区役所まちづくり推進部職員から構成される、「ユニバーサルデザインによるまちづくり研究会」を結成しました。地域生活圏におけるユニバーサルデザインによるまちづくり推進のための条件整理を目的とし、そこで得られた成果を地域住民に還元するためのワークブック作成へとつなげていきました。

ユニバーサルデザインの現状を知る

 勉強会を、平成17年度は、3月までに計8回開催しました。勉強会は共同研究メンバー以外にも、関心をもつ学生や教員の参加を歓迎し、毎回10人前後の出席をみました。
年度前半の勉強会では、各共同研究メンバーが、それぞれの専門分野から「ユニバーサルデザインまちづくり」に関する報告を行いました。8月には、共同研究メンバーが神戸市で開かれた「第3回ユニバーサルデザイン全国大会」に出席し、ユニバーサルデザインのまちづくりの現状について学び、神戸市の視察を行いました。
 そして、17年度後半の勉強会では、ワークブックの製作に向けた具体的検討を行うとともに、3月には民間企業の担当者による事例報告を主としたフォーラム開催を企画し、加えて実際にユニバーサルデザインを取り入れている学校などの見学を実施しました。  


勉強会の様子


神戸市視察の様子

「つかいやすさのひみつ」(ワークブック)の制作

 ユニバーサルデザインまちづくりに関する子ども向けワークブック「つかいやすさのひみつ」を制作しました。特徴として、以下の点が挙げられます。
@ 身近な生活環境である教室から学校、そして、まちの中へと視野を広げながら「つかいやすさ」についての理解が進められるよう配慮しました。
A 子どもが主体的に学べるよう、子どもの作業中心の構成とし、それに対応する解説を別に加えました。
B 学校の授業で教員が使用しやすいよう、項目ごとのワークシート形式にしました。また、1枚ずつわかれていますので、コピーしやすいようになっています。


ワークブックの表紙

ユニバーサルデザインフォーラムの開催

 3月にはフォーラム開催を企画し、ユニバーサルデザインを推進している民間企業(INAX株式会社、コクヨS&T株式会社、東陶機器株式会社、トヨタ自動車株式会社)の担当者による事例報告と、当研究グループ作成のワークブックの紹介を行いました。
日程:2006年3月17日(金)
場所:名古屋市立大学芸術工学部
参加者:68名
内容:企業からの事例報告、作成中のワークブックの紹介
   (「広報なごや」に案内文掲載)


ユニバーサルデザインフォーラムの様子

まとめ

今後の展開

 小中学校の協力を得て、ワークブックを使用した出前授業の実施を計画中です。実施する前後において、子どもたちのユニバーサルデザインに関する意識と知識をとらえ、その変化を分析することによりワークブックによる授業の効果を検証します。その後、ワークブックの修正を行ない、小学校の総合的な学習の時間で活用できるよう完成版を目指します。
 また、第2回ユニバーサルデザインフォーラムを、まちづくりに焦点をあてて活動を行っている実践者などを招聘し開催することを予定しています。

坂戸尚子((株)エルイー創造研究所)/2006.7

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