ものづくり文化の道/名古屋市西区

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ものづくり

1.「ものづくり」と西区

 名古屋の下町と呼ぶにふさわしい名古屋市西区は、名古屋城の西に位置し、名古屋が誇るべき様々な地域資源が集中しています。名古屋扇子や名古屋友禅といった伝統工芸から菓子製造・卸などの近代産業、そして四間道や美濃路などの歴史的町並み、屋根神様、さらには産業技術記念館やノリタケの森等の産業観光の拠点となる企業博物館といったように列挙するには事欠きません。数多くの資源が存在するのは、人々がそこで昔から「ものづくり」と密接に関係した生活を続けてきた証拠であると言えます。


「ものづくり文化の道」のエリア

2.これまでの「ものづくり文化の道」

 西区も日本各地の都市と同様に伝統工芸や地場産業、商店街などの衰退や地域資源の減少という問題を抱えるようになってきました。平成12年度に地域の企業や企業博物館、伝統工芸の職人、商店街、市民団体、大学など様々な主体によって検討部会を組織化し、このエリアを「ものづくり文化の道」として位置づけ、地域の活性化、地域全体の魅力向上や情報発信の強化のために様々な活動をしてきました。その結果、「ものづくり文化の館」、「ナゴヤシティ・ものづくりウォーク」などの各種イベントの開催をしたり、商店主や大学などによる多目的スペース「自由空間 藁の棲(わらのすみか)」の設置運営につながったりするなど、数多くの成果が生まれました。


自由空間 藁の棲 外観


内観

3.現在の「ものづくり文化の道」

 平成17年度には検討部会を「ものづくり文化の道推進協議会」に改め、これまでの検討してきた内容を具体化していくため、全国都市再生モデル調査に応募し、採択を受けました。
 協議会の部会のひとつである歩行支援部会では、数多くの地域資源を徒歩で回遊することの問題を解決するために自転車に注目しました。愛・地球博の会場内を走っていた自転車タクシーであるベロタクシーを実際に「ものづくり文化の道」で運行してその需要を調査しました。また、自転車で訪れる人にとって走りやすい道や危険な場所を把握するために、実際に自転車に乗って調査し、自転車マップづくりを行いました。
 ストーリー部会では、協議会のメンバーを中心にして「ものづくり文化の道」のエリアや地域資源の歴史、みどころなどを執筆し、ガイドブック「(仮称)ガイド 名古屋ものづくり文化の道」として整理しています。ボランティアガイド育成のための教材として利用するだけでなく、市販可能なレベルの完成度を目指しています


ノリタケの森とベロタクシー 
          

自転車マップのための調査の様子


4.今後の「ものづくり文化の道」

 「ものづくり文化の道」には赤レンガの建物などまだまだ魅力的な地域資源があり、掘り起こしが必要です。また、名物ボランティアガイドと呼ばれるような魅力ある人材という新たな資源もこれから多く生まれていくことになると思います。
 「ガイド 名古屋ものづくり文化の道」を手にした人々が「ものづくり文化の道」を訪れ、徒歩での移動はもちろんのこと、ベロタクシーや自転車を使って、より楽しんで回遊できる日が来ることを夢見ています。


山崎 崇(都市研究所スペーシア)/2006.1

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