まちの安全の確保と歴史の継承/愛知県西枇杷島町

<キーワード>
まちづくり協議会/美濃路/歴史

はじめに

 美濃路は、江戸時代、宮の宿(名古屋市熱田)から垂井の宿(岐阜県垂井)まで、東海道と中山道とを結ぶ、政治・経済上、重要な幕府直轄の街道でした。
 西枇杷島と名古屋とを結ぶ枇杷島橋は、名古屋城下と領内の要地とを結ぶための橋として架けられ、枇杷島橋により西枇杷島町は、古くから交通の要衝となりました。
 枇杷島橋が架かるとほぼ同じくして、徳川家康の命により、青物市場が開かれ、美濃路沿いに多くの商店が軒を並べ、賑わいが生まれました。
 現在の美濃路は、地域の生活道路として、さらには「尾張西枇杷島まつり」では山車を曳く「みち」として機能するなど、地域にとって重要な「みち」となっています。


美濃路の入口にある、
にしびの夢大根モニュメント


尾張西枇杷島まつりの時の
美濃路のにぎわい


青物市場を再現した、問屋記念館



美濃路の界隈には、
趣きのある路地が多く残っています

まちづくり協議会が発足

 平成12年9月の東海豪雨により、西枇杷島町の多くの世帯が床上浸水などの甚大な被害を受けました。この災害を受け、庄内川堤防の嵩上げ(河川激甚災害対策特別緊急事業)並びに三橋(県道枇杷島橋、JR新幹線並びにJR在来線)の架替え(庄内川特定構造物改築事業)の工事を進めていくことが決まりました。
 そこで、これらの工事により変容する「町家地区」を、より良いまちの実現に向けて、関係機関に働きかけていくための自主的なまちづくり活動を行う「にしび町家地区まちづくり協議会」が平成14年6月に発足しました。


まちづくり協議会の活動


庄内川・矢田川への見学会



情報を発信する

 平成14年度は、まちづくり協議会で検討した結果を「まちづくり提言書」として取りまとめ、西枇杷島町を通じて関係機関へ情報発信しました。
 協議会は、毎月1回のペースで開催し、町家地区におけるまちの問題を考えたり、まちづくりについての勉強会の実施や、先進地視察などを行い、「まちづくり構想案」の作成に向けての活動を行いました。
 まちづくり協議会とその活動について、西枇杷島町の住民や国などの関係機関に知ってもらうために、定期的に「まちづくり・かわらばん」や「まちづくり・ニュースレター」の発行を行うとともに、西枇杷島町の協力を得て、町ホームページにも活動内容等を掲載させて頂きながら、協議会の活動について情報を発信しています。

「にしび町家地区まちづくり協議会のまちづくりニュースレターとかわら版」

「これまで」と「これから」

これまで…

 平成14年度に調査・研究してきた成果として、「にしび町家地区のまちづくり提言書」を西枇杷島町長へ手渡しました。
 この提言書の主旨と内容について、関係機関や地域住民など多くの方々に理解と賛同をしていただきながら、今後、工事が進められる庄内川堤防嵩上げ(河川激甚災害対策特別緊急事業)並びに三橋(県道枇杷島橋、JR新幹線並びにJR在来線)の架替え(庄内川特定構造物改築事業)により変容する町家地区のまちづくりを進めて頂くよう提言いたしました。また、このことに加えて、町家地区のまちづくりを進めることにより、西枇杷島町全体のまちがより良くなることを望んでいることを合わせて述べ、まちづくり提言書を町長へ手渡しました。


提言式の様子


町長に主旨と内容を説明
これから…

 平成15年度は、町家地区のまちづくりについて、地域の方々の意見を聞き、協議会が考えるまちづくり構想に反映するための、「まちづくりアンケート」を行っています。
 この結果についても、まちづくりニュースレター等に掲載し、町の住民をはじめ、国などの関係機関へ情報を発信していき、より良い町の実現に向けての活動を継続していく予定としてます。これからの「町家地区まちづくり協議会」の活動にご注目ください。

桑嶋博史(中央コンサルタンツ(株)/2003.11

▲トップページに戻る▲