様々な生活シーンでリサイクル・再資源化が叫ばれています。「やきもの」は東海地方の地場産業ですが、従来は不燃物として埋め立てるしかなかった「やきもの」を再資源化しているグループが、グリーンライフ21プロジェクト「GL21」です。GL21は1997年に結成された美濃焼産地のグループで、やきものメーカー、原料である陶土のメーカー、産地から消費地へとやきものを送り出す商社、岐阜県セラミックス技術研究所など、40人ほどのメンバーがリサイクルシステムの構築に取り組んでいます。ここ数年で「環境」に関する法制度整備は急速に進み、「モノづくり」も環境問題を抜きにしては立ち行かなくなっています。加えて「やきもの」の原料はいずれ枯渇するであろう陶土。ここにいち早く目を付けて活動を開始し、食器の製造過程で消費するエネルギーを通常の製造過程と比較し、ほぼ同じであることを確認した上で、商品化に成功しました。(現在、基準としている原料リサイクル率は20%。技術的にはもっと高率にすることも可能ですが、産地企業が無理なく参加できるよう、20%としています。)
「つくる」→「売る」に加えて、「集める」→「粉砕し原料にする」→「つくる」という環状のシステムの無理のない構築を目指し、2000年度はe−mailによるモニター意向調査を行い、2001年度は全国15か所における不用食器回収実験にまでこぎつけました。
GL21は、「リサイクルすること」を美濃焼の新たな魅力として付加価値化しようとしています。リサイクル製品であることはあくまでも付加価値であり、商品そのものに本来の魅力を持たせようと地域内外のデザイナーやプロモーターをオブザーバーとして迎え、デザイン・価格・売り方などの研究も進めています。結果、2001年のグッドデザイン賞の特別賞「エコロジーデザイン賞」を受賞し、つくり手・売り手だけでなく使い手をまきこんだリサイクルシステムのコンセプトが高く評価されました。
2001年度の不用食器回収実験は、陶磁器食器を扱う雑貨屋などを中心に進められましたが、300kgもの家庭で眠る不用陶磁器食器が集まった拠点もあり、消費者の関心の高さがうかがえます。GL21では、2002年度から全国の自治体に対し、不用食器回収システムへの協力意向などを問い掛けるとともに、地場産業美濃焼の新ブランドとしての確立をめざしていきます。環境問題への解決策として、そしてまちづくりの一方法として今後どのような展開が可能か、GL21の挑戦は続きます。
文責:竹内 郁(都市研究所スペーシア)
GL21ホームページ http://nagoyanet.ne.jp/gl21/