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災害危険度判定/まちづくり協議会/災害に強い安全で安心して暮らすことができる住宅地形成
豊田市では、平成10年度に市街化区域(工業専用地域を除く)を対象に「災害危険度判定等調査」を実施し、@災害時の燃え易さ、消防活動の困難性を指標にして「延焼危険度」の判定、A地震発生時の道路の閉塞確率、一次避難の困難性を指標にして「避難危険度」の判定を実施しました。
このとりくみは、そうして抽出された地区のうち、「災害危険度が高く、防災の観点から整備が必要な地区」とされた越戸駅周辺地区を対象として、地域住民のまちづくり協議会活動を通じ、地域住民の発意による「防災まちづくり基本構想」を策定することにより、災害に強い安全で安心して暮らすことができる住宅地形成を図ることを目的としています。
「目的」に示す趣旨で調査は実施されていきましたが、当の住民側には災害上危険であるという認識は薄く、さらに住民発意によるまちづくり活動(組織)の運営に関しても全く未経験であり、地域の自治区等の協力を得ながら、行政、コンサルタントが共同で「まちづくり組織」の立ち上げから支援を行っていきました。
活動の初年度としては、未経験者の集まりということで、防災的な事業の具体的検討に入る前に、事例視察などを行いながら「まちづくり」について知見を持っていただきました。
さらに地域の皆さんにもアンケートなどを実施し、地域の問題・課題の整理や、そうした意見を基にして実際に見てみるという「タウンウォッチング」、課題地図のまとめなど、ある程度練習的な内容から実践いただきました。
防災危険度判定上の課題を、住民の主体的取り組みとして改善していく趣旨でスタートした今回の事業(調査)ですが、やはり行政の思う課題と、地域の方の思う課題との差異というものがどうしても存在し、「住民発意」とは言いながら、実質の協議会の運営自体はかなり「行政+コンサルタント」主導という面は否めません。
しかし、協議会を組織してから半年程度の活動を通しながらでも、防災に限らず、広い意味の「まちづくり」の必要性は委員の方々にもすぐ理解いただけるものでしたし、こうしたとりくみを、もっと地域の皆さんとの認識のもとに行いたいという、思いも語っていただけるものとなりました。
また活動は平成11、12年と継続され、2年目には地区内で危険な道路の位置とその整備方針なども提案され、「住民自ら」がとりくむという、本来の活動趣旨の芽がでつつあるところですが、これで「やっとスタート地点に立った」のだな、というのが実感です。今後は具体的に防災道路網を考えるなど、よりよい環境づくりに向けて協議会活動は更に続いていきます。
植野(ランドブレイン名古屋事務所)/2001.4