元気のある商店街/三重県桑名市「寺町通り商店街」 

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 商店街活性化/商店街活性化調査事業/ワークショップ


はじめに

 近年、経済情勢の変動から特に都心部の空洞化が叫ばれ続け、一部の商店街では空き店舗が増加するなど危機的な状態になりつつあります。そうした中、国では「中心市街地活性化法」を制定するなど、商店街活性化等による中心市街地の再生に向け動きはじめました。しかし、どれだけ施策を打ち出してもその対象となる地元(商店主)の活性化に向けた熱意がなければその効果は期待できません。ここでは、活性化に向けて取り組んでいる、ある商店街について紹介します。

1. 寺町通り商店街

 その商店街は、三重県桑名市の「寺町通り商店街」で、寺院の門前町としてさかえ、「七里の渡し跡」にも近く、またかつての桑名城の外堀「寺町堀」に隣接した歴史情緒漂う環境にあります。この商店街で三と八のつく日に開かれる「三八市」は、50年以上の歴史を誇り、地元を始め県外から約15,000人もの人が訪れ、大変な賑わいを見せています。しかし、相次ぐ大型スーパーの出店や消費者の高齢化、ニーズの多様化が進む中、商店街として新たな対応が求められ、ソフト・ハード両面の改善による商店街活性化と空堀となった寺町堀の活用を検討するための「商店街活性化調査事業」を実施することになりました。

2. 2つのワークショップ

 我々は、商店街を舞台に地域住民も巻き込んだ「タウンウォッチング」と「絵画コンクール」という2つのワークショップを提案しました。前者は、住民がまちの宝物ときらいなものを見つけ図化し、商店街や地域の魅力や問題点等を見つけ出すもので、後者は、子供達に買い物がしたくなるような夢のある商店街を描いてもらいました。そして、普段気づかなかった商店街の魅力や周辺に点在する歴史的資源等を再評価するととともに、店作りに魅力が感じられない一部の個店やカラー舗装等の商店街空間の改善、寺町堀の整備の必要性を再認識する結果となりました。
 これらのワークショップは、商店主自ら企画・準備・運営に関わったことから、まちづくりに対する意識が高まり、また住民(消費者)の生の声を多数聞くことができ、商店主にとって貴重な体験となりました。そして、ワークショップを通じて住民から得られた意見を基に地元で計画案を作成し、寺町堀の再生計画、新しい市(いち)の創造、商店街の環境・景観整備等をとりまとめました。

3.元気のある商店街

 ここ寺町通り商店街には、商店主の商店街への愛着や商店街活性化に向けた熱意、振興組合の高い組織力が備わっていました。また、行政や地域間のネットワーク・支援体制も充実していました。そうした基盤があったからこそ今回の取組みも成功したと言えます。
 調査をきっかけにその後も独自でワークショップを開催するなど、商店街の魅力づくりを追及し続けています。さらに、そうした地元の取組みを行政も積極的に支援し、課題となっていた寺町堀の整備も動き始めました。今後も、元気のある商店街であり続けることを願うとともに、その活動を応援していきたいと思います。

(村井亮治/鞄s市研究所スペーシア)/2000.1

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