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愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会・2008年度公開シンポジウム

都市景観における広告メディアの可能性

■日時  2008年11月19日(水) 13:30〜16:30
■場所  (財)名古屋都市センター 13
階 大研修室
(名古屋市中区金山町1丁目1番1号 金山南ビル )


(1)都市景観への美の仕掛け
   高北幸矢先生(名古屋造形大学学長)

○はじめに
  • シンポジウムの善し悪しは、テーマの立て方による。テーマは絞ったほうがよい。
  • 今回は「広告メディア」という絞られたテーマなので、楽しみにしている。
○広告とは<ホワイトボードを用いてグラフィックドローイング>
  • 広告とは広告主と消費者のコミュニケーションの媒体である。
  • 広告主が商品を売るために広告を出し、市民が好感を持つなり、心を開いたりして、その結果、商品を購入したり、サービスを受けるというプロセスがある。
  • 広告主は市民の購買意欲を高めるため、人気のあるタレントを広告に起用したりする。(好きな女優であれば、商品の話を聞く、心を開く。)
  • 言いたいことをぶちまけるような不快感を消費者に与える広告はだめ。消費者とのコミュニケーションのとれる広告が必要である。
○スライド事例紹介〜雑多な看板広告などの悪例を紹介しながら〜
  • 日本では膨大な広告メディアがある。
  • しかし広告主のレベルが低い。
  • 広告メディアの中の多くは安価に目立つように掲げられており、それらは字を大きくしたり、原色を使ったりほとんどが見苦しいため、道行く人はそれらの広告に対して心を閉ざしてしまっている。
  • 特にインター出口や都心は広告が所狭し、と並んでいる。
  • 広告が多いと、確かに街はにぎやかになる。しかし、美しくなく(好感が持てず)、そこではコミュニケーションが起こらない。
○スライド事例紹介〜では美しい景観にするにはどうしたらよいか〜
  • にぎわいと広告量のバランスが大事。やみくもに多すぎてもだめ。
  • 意味広告ではなく、感性広告(店に来させるように、市民の心をつかむ)が求められる。
  • 質の高い広告と都市景観はバッティングしない。
  • ヨーロッパの街は歩いていて気持ちがよい。→にぎわいと広告量のバランスがとれている。(広告を掲げる立地が限られている→競争率が上がる→いい広告が出る)
  • 決して日本語(漢字・ひらがな・カタカナ)がサインに向いていないわけではない。日本語を上手に魅せている例も数多くある。
○まとめとして
  • 広告が醜い、のではない。醜い広告が景観を悪くしている。
  • 日本の広告のレベルは高い。世界的展覧会に入賞するのは日本の作品が非常に多い。ただし、全体で眺めると、質の高いもの低いものが玉石混交であるため、印象としては雑多なものになってしまっている。
  • 問題は魅せ方なのである。
記録:細井 昭男/(株)都市造形研究所 )

(2)公共空間と一体となった広告の整備 「景観美化とビジネスを両立させた事業展開」
   トマ・ゲドロン氏(MCDecaux社長)

○ストリートファニチャービジネス
  • 親会社のジェーシードゥコー社は、1964年、リヨンに最初の広告付きバスシェルターを設置した。
  • 広告を実施することを引き替えに、無料で高品質のストリートファニチャーを提供する事業を行う。設置、メンテナンスも広告料でまかなう。
  • 2007年の販売額は、3,150億円。54カ国で展開。
  • ストリートファニチャー、空港広告、交通広告、ビルボード等で実施し、屋外広告のシェアは高い。
  • ジェーシードゥコー社の日本における合弁会社であるエムシードゥコー社は2004年に横浜市に広告付きバス停留所上屋を設置。
○デザイン・メンテナンス
  • 有名なデザイナーや建築家がデザインを行う。見かけの良さも必要。
  • 第一級の清掃、メンテナンスも重要。20年の契約で、綺麗に維持することを保証している。
  • デザイナーについては、ノーマンフォスター、フィリップスタック、安藤忠雄、伊東豊雄等と行う。さまざまなデザイン賞を受賞している。グッドデザイン、名古屋都市景観賞他。
  • 約4,000人のスタッフがメンテナンス、清掃を行う。
○これまでの事業展開
  • ジェーシードゥコー社の業績としては、バス停広告、自動洗浄公衆トイレ、自転車事業等を行う。
  • 1981年にフランスで最初の公衆トイレを設置した。3,000基以上になる。
  • 2001年にオーストリアのウィーンにて最初の自転車共有システムを開始している。2007年にパリにて「ベリブ(自動車共有システム)」を実施。20万人の長期契約者がいる。
  • 環境・省エネも対応している。大阪の事例では、天井に芝生を植えているバス停がある。小さな面積ではあるが、まちに緑を提供し、CO2の削減を行っている。
  • 清掃でたくさんの水をつかうため、雨水を利用している。
  • 広告ポスターもリサイクルできるものを選ぶ。
○日本での展開・会社概要
  • 2000年に三菱商事と合弁会社設立。
  • 2003年に国土交通省・警察の規制緩和により、バス停広告が認められる。
  • 2003年に岡山市に設置。
  • 2005年に名古屋市交通局に「B-Stop」を設置。名古屋市は設置箇所が多い。
  • 全国で26都市、800箇所に設置。
○設置プロセス
  • 1ヶ月間:事前調査
  • 3ヶ月館:自治体協議・申請
  • 2週間:設置工事
  • 上屋完成後20年間の維持・管理
  • 実際に設置するにあたり、物理的な問題もある。通路幅を確保する必要があるため、名古屋でも歩道幅員が狭いバス停箇所には、広告パネルを平行にして歩行者の邪魔にならないように省スペースにした。通常の箇所では、広告パネルが進行方向に垂直に添加される。
○掲載広告
  • 円滑に公共サービスを提供するために必要な業務の一環として認識しており、ふさわしいものを選んでいる。
  • 広告は2週間毎に交換。実施都市内は、すべて同様の広告を掲載する。
○結論
  • クオリティがクオリティを呼ぶ。
  • ストリートファニチャーの品質が良ければ、質の良い広告を呼ぶ。
  • スライドは、名古屋市の写真であるが、2007年3月にルイ・ビィトンは世界で初めてバス停留所上屋への広告掲出を行った。

(記録:筒井 康史/三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) )

(3)名古屋市における広告付バス停導入
    吉井信雄先生(名古屋市代表監査委員 前名古屋交通局長)

○名古屋の景観行政について
  • 高北先生が冒頭で「講演会はテーマを絞らないと面白くない」という話をされたが、名古屋市の景観基本計画についても基本的に同じ発想であるという印象を受けた。
  • 市の景観行政では、「名古屋の都市美とは何であろうか?」という演繹的なアプローチを取っておらず、帰納的に考え、テーマを絞って実施している。
  • 名古屋の景観基本計画は具体的個別な部分で特徴的な所を取り上げていることが最大の特徴であり手法である。初めに全体像を見てから個別を見て行くというアプローチにはなっていない。
○広告付バス停導入の経緯
  • 市バス事業の現状は非常に厳しい。乗客数のピークは1964年で1日90万人が利用していたが最近では1/3の30万人にまで減少している。
  • 収支が大変厳しい中、2010年(5年後)までに地下鉄とバス事業の経常収支をプラスにするという経営健全化計画を作成した。18年度にスタートした計画ではバス事業では最初の年から黒字となり、平成19年度の決算でも9億4千万の黒字と2年連続の黒字となった。
  • しかしながら、過去の累積赤字が542億円、資金不足(不良債務)が約300億円あり、那古野の車庫等の土地の売却などにより不良債務は120億円程度に削減した。
  • 少しでもコストを削減し、なんとか稼がなくてはいけないというのが最初のモチベーションであった。
○手法
  • バス停のタイプは5つあり合計3700基が設置されている。そのうち一番多いのが上屋のない棒状のもので、2300基使用されている。
  • エムシードゥコーが広告事業を実施しているバス停は上屋のあるタイプの物で、全部で1400基程度ある。上屋のあるバス停のうちポリカラントタイプの耐用年数は15年程度であるが、15年をこえてすぐにでも更新して建て替えたい物が600基程度存在している。これを建て替えるとすると、1箇所200万円かかるため約12億円かかる。そこへ規制緩和の話があり、上屋に広告を付けることができるようになった。
  • 広告効果の少ないところや、道路幅員が狭く設置が困難なところを除いて、300機を目標に実施することにした。そうすると5年間で6億円程度ういてくる計算になる。
○規制の緩和
  • これまで、棒状のバス停や電柱には広告はみとめられていたが、バス停上屋は国の通達で認められていなかった。小泉内閣の規制緩和の流れの中で、平成15年に広告付きの上屋に関する規制が緩和された。
  • 広告付き上屋を設置する際の一番大きな課題が規制緩和であり、一番のポイントである。規制緩和で一番大きい課題は道路占用であり、道路管理者(市長)から許可を得る必要がある。
  • もう一つの課題は屋外広告物条例はじめ都市景観の規制であり、これも市長権限となる。
  • 横浜市のように市長が提案した事業であれば話がスムーズに進むが、名古屋市の場合は交通局が提案しているため、市長サイドとの調整に苦労をした。
○事業手法
  • 民間事業者の選定についてはコンペを実施し、応募してきた2社から審査をしてエムシ ドゥコーを選定した。
  • 名古屋市交通局と民間事業者が20年の契約を締結し、民間事業者に所有権を渡す。その代わりにバスのダイヤを表示する部分は市交通局が使用権を持つ。
  • ドゥコーが広告主を募集し、広告料を徴収して事業を実施する。上屋の建設・設置、メンテ・電気代等の支払いもドゥコー社が実施する。
  • このような手法を採用することにより、民間事業者は広告料で儲け、市はタダできれい な停留所が整備できる。
  • 上屋設置は道路占用となるため、占用の申請は市交通局が道路管理者である市長に対し実施している。占用料も支払うため道路管理者は儲かる。占用料は民間事業者が支払うという仕組みになっている。

○広告付きバス停事業のメリット
  • 利便性・快適性が向上し、都市景観上も良い。また、ライトをつけているため街灯のかわりになり、防犯上も明るくて非常に良い。維持管理コストも縮減される。
  • 非常に大きなメリットの一つは、ドゥコーさんが第1級のメンテナンスを実施することである。市がメンテをやる場合コストがかかるため、月1回程度しかできない。ドゥコーの場合、広告を2週間に一度変更し、その際、質が高いメンテを実施している。
  • 外資企業の誘致ということを盛んにやっているが、実際にはなかなかこない。名古屋でこの事業を実施することによってフランスの会社が名古屋に出張所を置くというメリットも生じている。その点では、この事業は一石四鳥だと思う。
○広告付きバス停留所の3つのタイプ
  • 広告付きバス停留所には、標準タイプ、大型タイプ、平行タイプの3つのタイプある。
  • 道路は公のものであるため、勝手に設置することはできない。また、通行の邪魔にならないように道路の幅はこれ以上でなければならないなど、いろいろな規制がある。
  • 現状では残存幅員(上屋の出っ張りを除いた歩道部分の幅員)が4m以上必要である。そのため、道路幅が広いところでしか出来ない。
  • 広告可能な位置は決められており、進行方向先側の壁面の裏表の計2面とされている。これは、警察よりドライバーが広告に見とれて事故になる可能性があるという判断から手前側には広告を設置することができない。
  • 道路に平行に広告を出す場合、当初は歩道側でないとダメだという見解であった。理由は同様である。これでは広告面積が1/2になるため効果が出ないことから、なんとか規制を緩和する必要があった。
  • エムシードゥコーと国のほうでいろいろ実験をし、また、交通局としても国に規制緩和をお願いし、国も理解を示してくれた。
  • その結果、平行タイプ(広告両面)が認められた。大型タイプは金山の南口の前に設置してある。
○広告付きバス停留所の現況
  • 残存幅員の基準は4mであったが、現在では3mまで緩和された。なんとか2.5mまたは2mにしてほしい。当然通行する人の安全性確保は重要であり、基準も必要である。
  • 当初は緑政土木局(道路占用)、住宅都市局(屋外広告物条例)が難色を示し、これをクリアするのに1年かかった。
  • 平成17年に桜通りに2基、名城公園に3基、金山に1基を試験的に設置した。この6基については、景観アドバイザーや市民から評価を得ることが出来た。その結果、正式に設置が認められた。
  • そこで平成18年に53基、平成19年度に57基、平成20年度は17基を設置し、現在35基を施工中である。2010年度までには300基を目標に設置したい。
  • 都市景観区整備地区では、規制が厳しく、地先の了解を得ることが難しい。
  • 去年の12月に100基になった時に、市役所の本庁社の前に100基を記念してドゥコーさんに寄付をしてもらった。象徴的な意味で本当は最初に本庁舎前に設置したかったが、風致地区の規制があったため不可であった。
  • そこで、一般広告ではなく市の重点施策である本丸御殿の障壁画のPRをするということで認めてもらった。
○今後の課題
  • 歩道の残存幅員について規制緩和が必要である。
  • 都市景観整備形成地区や風致地区の広告規制の緩和が必要である。
  • 交通島における広告の緩和をするためには条例を改正する必要がある。
  • 同様に、風致地区内における広告掲載の禁止を緩和できないかという課題がある。
○評価
  • 平成17年の11月に実施したアンケートと一年後に実施した結果がある。ほとんどの人が良いという評価をしており、また、都市景観賞も受賞した。
  • これまで広告はよくないものであり、だから禁止する。風致地区に広告はそぐたないという認識があった様に思う。エムシードゥコーの意義は実はそうでなないという事を現実に目にみえる様にしたことであり、ドゥコーが広告のあり方に一石を投じたと言っても過言ではない。
  • ポスターはパリでは芸術作品とみられているものも多く、美術館に展示されているものもある。そういった素晴しいものでも広告であるからという理由で風致地区には掲載させないというのはおかしいのではないか。都市景観賞をとるくらい優れたものであれば、たとえそれが広告であっても優れた都市景観の保存に資するものであり、当然認めてしかるべきだと思う。問題は広告だからではなく、都市景観にマッチしたいいものであるかどうかである。

(記録:平沢 靖聡 /(株)日建設計 )

フリーディスカッション
「新しい広告メディアの可能性 〜都市はもっと美しくなれるのではないか〜」

パネリスト:高北幸矢様、吉井信雄様、トマ・ゲドロン様

コーディネーター:尾関利勝(樺n域計画建築研究所名古屋事務所長)

○パリの環境から見て、日本・名古屋の都市をどう思うか?

尾関氏: 都市の美・個性を支える都市経営、これがリンクした時にサスティナブルになる。従来、公共物・景観はお金を使うものと思われてきたが、発想を変えれば違う。ドゥコー社と名古屋市交通局の取組みによりその仕組みが分かってきた。21世紀型のまちづくりのヒントにしていきたい。パリの環境から見て、日本・名古屋の都市についてどう思ったか?

ゲドロン氏: 日仏交流150年となるが、両者にはプロ意識・完璧主義・美意識の高さ等、多くの文化的共通点がある。B-Stop展開にあたり、概念をよく理解してもらえた。フランスでは規制は緩く、公衆トイレ・バス停・自転車にも広告・デザインの力を十分発揮している。

高北氏: B-Stopの広告料はいくらか?広告効果が大きいことを理解している一流企業でないと出せないだろう。

ゲドロン氏: 安くはない。企業はドゥコーのネットワークにより全国展開できること、公共物なので質を重視していることも考慮してほしい。TVコマーシャルに比べればかなり安く、日本はアメリカの1/10の値段。

高北氏: 立地により広告料は違ってくるだろう。TV、新聞広告と同じ。


○公共空間の利用方法、付加価値の高め方

尾関氏: 公共空間をめぐってこんな生々しい話をするのは面白い。交通局の経営改革には抜本的発想の転換が必要だったと思う。地下鉄も含め公共空間の利用方法、付加価値の高め方についての話を。

吉井氏: 地下鉄は環状線効果で収益上がっている。ドニチエコ切符等のソフトも好調。この2つのシナジー効果で鉄道賞をとった。公共空間については、地下空間は殺風景。収益が上がって彩りがでるのは広告。柱巻き広告は国道地下の伏見駅では可能だが、名古屋市の管轄ではなかなか規制がうるさい。色々お願いし、やっと改札内はフリーになり、コーヒーショップや映画広告までいろいろな事ができるようになった。地下鉄が謳う安心・安全・快適のうち、彩りとなる広告や店舗は快適性を高める。基本的にはPPP(民間との連)がこれからは必要になると思う。交通局は地下空間というメディアを持っており、お互いにウィンウィン関係となるタイアップ広告に力を入れている。


○名古屋の都市デザインをどう評価するか?
尾関氏: あいのりにより連鎖関係をつくることが重要。名古屋の都市デザインをどう評価するか?
高北氏: 1989年のデザイン都市宣言に対し、地元は気恥ずかしいという態度。宣言とは欲しいものを言うもの。30年以上で写真を撮っているが、15年前くらいからどんどん美しくなっている。宣言してしまったので、責任を取らなくてはいけない。デザイン都市宣言はビジョンの基点、バネとなった。クオリティがクオリティを呼ぶ。



○ドゥコー社の掲載広告の選定方法、パリの広告物への規制内容

尾関氏: デザイン・感性は定量化しにくいが、デザイン都市宣言から20年経ち、次のステップへとレベルアップしていくところだろう。会場アンケートからの質問は、ドゥコー社の掲載広告の選定方法、パリの広告物への規制内容について。

ゲドロン氏: もともと屋外広告の重要性を理解している企業がアプローチしてくるため、いいポスターが効果的であることを理解している。規制の中で、どのような効果が出せるかを提案している。パリの規制については、40年以上の屋外広告の歴史があり柔軟性が高い。

尾関氏: 広告審査の内容は、街の景観にふさわしいかについて。

吉井氏: ドゥコー社のレベルも高いが、交通局ではバス停のチェックは景観アドバイザーの意見をふまえ住宅都市局でチェックを行なっている。


○広告が芸術に変わるときの考え方

尾関氏: 広告が芸術に変わるときの考え方について。

高北氏: 広告が芸術に変わるのではなく、広告が広告でありながら芸術性を持つこと。洋服も洋服として芸術性をもつこと。洋服の質を高めることでデザイン性や芸術性を持ち始める。ポスターコレクションを世界の美術館等で行なっているが、ポスターだからではなく質のよい芸術的価値をもっているからコレクションされる。こういった美術館は日本では少ないが、コレクションの多くが日本のポスターでありレベルも高い。広告メディアは汚いという規制条例は広告をする景観が損なわれる前提とされている。しかし、美しい広告により景観がよくなり規制がなくなる。広告メディアを美しくするとまちがよくなり気分がよくなる。そして企業利益と同時に市民利益もあがる。

尾関氏: 芸術は芸術として見るものという意識や芸術と工芸を分離する考えであったり、芸術を生活と切り離して考えている人が多い。広告が芸術になるのではなく人の心に影響を与えるものが芸術となり、それは建築も同じ。



○都市の個性・美しさの持続、都市経営に何が必要かなど
 (各パネリストにフリップに書いてもらい、話を伺う)
吉井氏: 「公の限界意識、コストパフォーマンス、PPP」
官に金があったときは公共施設など自分でできた。しかし今はできなくなってきており公民連携が不可欠な時代になっている。これからは官と民間で十分議論していく必要がある。交通局は企業会計であるので民間と同じで、今人件費カットで対応しているため危機意識がばねになってこういったPPPの発想につながっている。一般の公務員は原価意識が薄いのでなかなかそうはならない。交通局はやるしかなかったがやるときにただやるのではなく美意識をもってやった。地方自治の原点である「最少の経費で最大の効果」をという意識が一般市長部局の職員は薄い。いいものを出し、さらに要求をすることでスパイラルアップにつながる。デザイン博はそのためにあった。

ゲドロン氏: 「クオリティー、オーディエンス、事業者」
キーとなるものとしてクオリティーがあげられる。その中でも環境にやさしいこと。広告主が満足し続ける環境を提供し続けること。そしてお客、観客がそのブランドを見て楽しめる質の高いものを。事業者は質を高めていくことはサスティナブルにつながる。

高北氏: 「美しい広告がある」
広告は汚いものと前提にしないで美しい広告があるということをまず概念におくこと。美しい広告を選び求めることは市民の権利であると考え、企業も自治体もよくなりサスティナブルにつながる。

尾関氏: 議論は尽きませんが、そろそろ終了の時間が迫っております。本日は長い時間のお付き合いありがとうございました。

(記録:細井 昭男/(株)都市造形研究所 )

 <主催>愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会
<後援>愛知県、名古屋市、(財)名古屋都市センター

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